みなさん、こんにちはクラケンと申します。
今回は、アメリカ2月5日に発表された1月度米雇用統計について、
- 雇用統計とは何か
- どこを見ればいいのか
- 今回発表された雇用統計はどのような内容だったのか
という点について、わかりやすく解説していこうと思います。
米雇用統計とは何か
まずは、米雇用統計とは何か、について解説していきます。
雇用統計とは、アメリカの雇用情勢を表したデータで、アメリカ国内の労働市場の状態を測るための統計です。
毎月第1金曜日にアメリカ労働省から発表されています。
この指標を見ることで、アメリカの労働市場が活発かどうかがわかります。
もっと簡単にいうと、アメリカ全体でどれだけの人が仕事に就くことができていて、そして、その賃金とかはどんな感じか?というのを数字で表したデータ、ということです。
アメリカの労働市場が活発かどうか、がなぜ重要かというと、それは労働市場が活発であれば、それはつまり、アメリカの経済が活発である、とみることができるからです。
企業などは、事業が安定もしくは成長している状態であれば、新たに人を雇って、さらに自社のビジネスの拡大を図ります。
その結果、社会全体で、仕事に就いている人の割合が増加します。
逆に言うと、仕事に就いている人の割合が増加している、ということはその分企業のビジネスが順調であることを意味するので、結果的に経済が順調であることを示します。
反対に、会社のビジネスが不安定だったり、低迷していたりすると、企業は積極的に人を雇いにくくなったり、
もっと厳しい場合は、リストラなどで人員削減したりするので、社会全体で仕事に就いている人の割合が減少します。
パッと見るならここ!【2つの数字】
次に、アメリカの雇用統計が発表されたときに、少なくとも注目したい2つの数字をご紹介します。
早速結論から参ります。それは、
- 非農業部門雇用者数
- 失業率
この2つです。
非農業部門雇用者数は、農業以外の分野で雇用されている人の数を表し、失業率は、その名の通り、失業状態にある人の割合を指します。
つまり、この2つのデータから、「その月、アメリカで一体どれだけの人が仕事に就けていて、どれぐらいの人が失業状態にあるのか」を知ることができます。
アメリカの雇用統計には、この2つ以外に、主要なデータとして、
- 平均時給
- 不完全雇用率
- 労働参加率
といったデータがあります。
平均時給は、文字通りです。
不完全雇用率は、簡単に言うと、働きたくても十分に働けていない人の割合を指します。
労働参加率は、実際に16歳以上の労働力人口が全人口に対してどれだけの割合か、を表したものです。
このあたりの数字ももちろん大事なデータではありますが、もし雇用統計のデータをパッと見るとしたら、非農業部門雇用者数と失業率を見ることで、米国の経済状況について予測を立てる、というのがいいのではないかと思います。
2つの数字をどのように見るか【21年2月発表のデータを使って】
では、次にこの2つの数字をどのように見たらいいのか、について、2021年2月5日に発表された1月期の雇用統計の結果を使ってわかりやすく解説していこうと思います。
The unemployment rate fell by 0.4 percentage point to 6.3 percent in January, while nonfarm payroll employment changed little (+49,000). The labor market continued to reflect the impact of the coronavirus (COVID-19) pandemic and efforts to contain it.
U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS “Current Employment Statistics – CES (National)” https://www.bls.gov/ces/news.htm
こちらは、米労働省のホームページに記載されていたもので、今回発表された雇用統計で、失業率と非農業部門雇用者数の数字について結果が述べられています。このコメントによると、
1月度の失業率は(前月比)0.4パーセント下がり、6.3パーセントとなった。その一方で、非農業部門雇用者数は、ほとんど変化しなかった(+49,000)。労働市場は引き続きコロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響とそれ(=コロナウイルスパンデミック)の封じ込めに尽力していることが反映された。
キレイな訳ではないかもしれませんが、意味は概ね一致していると思います。
つまり、
- 失業率は、前月比0.4%減少=失業者の割合が、0.4%減少
- 非農業部門雇用者数は、前月比4.9万人増加
- 労働市場が引き続き新型コロナウイルスパンデミックの影響を受けている
ということがわかります。
この数字と結果だけを見ると、失業者がわずかに減少し、仕事に就いている人が増えているから、労働市場は、どちらかというと回復方向に向かっている、と見ることもできると思います。
失業率は、わずか0.4%の変化にとどまったので、ほぼ変化なし、とみてよさそうですが、では、非農業部門雇用者数の4.9万人増加というのは、多いのか、少ないのか…?
それを判断するには、いくつか方法があります。
一つは、過去のデータと比較する方法。
前回、2021年1月8日に発表された2020年12月期の雇用統計では、非農業部門雇用者数は、前月比14万人減少、となっていました。
この結果と比較すると、今回発表された2021年1月期の非農業部門雇用者数は、大幅に改善した、と言えそうです。
もう一つの方法として、市場がどのように見ているか、を見る方法です。
どういうことかというと、雇用統計発表までに、証券アナリストや投資家などが、結果を予想しています。
その予想に対して、結果が良かったのか、悪かったのかを見る、ということです。
市場の予想に対して、結果が良かった場合、株式市場などでは良い材料と見られ、株価上昇の要因になりますし、反対に予想よりも悪ければ、市場が失望し、株価下落につながります。
今回の2021年1月期の非農業部門雇用者数は、事前予想では、5万人の増加、と見られていました。
この予想と比べると、4.9万人増加、という結果はやや予想を下回る結果だった、と言えますね。
じゃあ、結局、今回の雇用統計の結果は、どうだったのか、というとやはりまだまだコロナウイルス感染拡大の影響が続いており、労働市場は、コロナ前のような活発な状態にあるとは言えなそうです。
しかしながら、株式市場は、この結果が発表されてから大きな下落はしませんでした。
というのも、現在、米議会では、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響に対して、バイデン大統領が提案した1兆9000億ドル規模の大型経済支援策についての議論がされており、
今回の雇用統計の結果が、「やはり大型経済支援策が必要である」ということの根拠と見られ、経済支援策が可決されやすくなるのでは、との見方から、
弱気な雇用統計の結果に対して株価が大きく下落することなく推移することになったようです。
まとめ
今回は、
- アメリカの雇用統計とは何か
- 何を見ればいいのか
- どんな風に見ればいいのか
という点について、解説してみました。
雇用統計は、アメリカの労働市場の状態を示す統計であり、アメリカの経済状況を知るための重要なデータの一つです。
そして、その中でパッと見るのであれば、見るべきポイントは、非農業部門雇用者数と失業率で。非農業部門雇用者数は、農業以外の仕事をしている人の数、失業率は失業者の割合を指し、この2つの指標で、アメリカの労働市場で雇用が増えているのかどうか、がわかります。
一般的には、雇用が拡大していれば、その国の経済が活発であることを示し、株価上昇につながります。
反対に、雇用統計の結果が悪く、雇用が低調な状態にあれば、経済が冷えていると見え、株価下落につながります。
しかしながら、議会の動きなど、他の様々な要因によっては必ずしもそうはならないこともある、ということでした。
みなさんもアメリカの雇用統計に注目してみてはいかがでしょうか。
もし、今回ご紹介したような内容以外に役立つ見方や情報、ご意見等ございましたら、気軽にコメントいただけたらと思います。僕も勉強になるので大変うれしいです。
では、本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします!
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