みなさん、こんにちはクラケンと申します。
みなさんは、株式投資をする際に、自分なりの投資手法や投資判断の基準となる考えを持っていますでしょうか。
今回は、あの投資の神様ウォーレン・バフェットが絶賛し、これから投資を始めようという方や投資を始めたばかりの方にもおすすめの一冊をご紹介します。
投資で一番大切な20の教え
今回ご紹介する本は、日本経済新聞出版社から出されている「投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識」(ハワード・マークス著、貫井佳子訳)です。
<こんな人におすすめ!>
- これから株式投資を始めてみようと思っている人
<この本を読んでわかること>
- 株式投資をする上で知っておくべき20の教えについて
- これから投資を始める人には、自分の投資方針の基準となる考え方として
20の教えとは!
まずは、本書で紹介されている20の教えをざっと紹介させていただきます!
- 1. 二次的思考をめぐらす
- 2. 市場の効率性(とその限界)を理解する
- 3. バリュー投資を行う
- 4. 価格と価値の関係性に目を向ける
- 5. リスクを理解する
- 6. リスクを認識する
- 7. リスクをコントロールする
- 8. サイクルに注意を向ける
- 9. 振り子を意識する
- 10. 心理的要因の悪影響をかわす
- 11. 逆張りをする
- 12. 掘り出し物を見つける
- 13. 我慢強くチャンスを待つ
- 14. 無知を知る
- 15. 今どこにいるのかを感じとる
- 16. 運の影響を認識する
- 17. ディフェンシブに投資する
- 18. 落とし穴を避ける
- 19. 付加価値を生み出す
- 20. すべての極意をまとめて実践する
本書では、著者が過去20年にわたって不定期で書いてきた顧客向けレターに基づいて、20の投資に関する教えについて述べられています。
著者のハワード・マークス氏は、オークツリー・キャピタル・マネジメントの会長兼共同創業者をで、ハイイールド債投資や不良債権への投資を得意とする人物。(参考:OAKTREE CAPITAL MANAGEMENT <同社英語版ホームページ>
今回はそんな20個の教えの中から、僕が勉強になったと思う教えをいくつか紹介します!
教え③バリュー投資を行う
まず一つ目は、バリュー投資を行う、ということが挙げられています。
バリュー投資というのは、「割安な株を買い、その株が上がったら売って利益を確定させる」という投資方法を指します。
あの投資の神様ウォーレン・バフェットも、彼の師匠ベンジャミン・グレアムから学んだバリュー投資を彼の投資スタイルのベースとしています。
※参考:バフェット流投資法12の原則で富を築く方法【初心者必見!】
ビジネスでもなんでも、利益を出す本質的な原則は、「安く買って、高く売る」ということにあります。
つまり、「いかに優良な株を、割安な価格で買うか」が株式投資で利益を上げるうえで、重要なポイントになってきます。
これは、「効率的市場仮説」や「ランダムウォーク理論」といった株式市場の特性・性質に関する理論にも関連している考え方になります。
「効率的市場仮説」
…市場の価格(=株価)には、全ての情報がすでに織り込まれているため、価格は常に、「効率的」に動くという仮説。つまり、割安な価格や割高な価格というのは存在しない、という考え方。
「ランダムウォーク理論」
…ランダムウォークとは、その名の通りランダムに動く様子を表した言葉です。市場は、常にランダムに動くため、過去の株価分析が将来の株価予測の役に立たない、という理論です。
ランダムウォーク理論に関連する名著がありますので、参考書籍として貼っておきます。
参考書籍:ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理 (日本経済新聞出版)
バフェットもそうですが、一部の著名投資家は、効率的市場仮説を否定するような考え方を示しています。
株式市場というのは、常に効率よくあらゆる情報の影響を瞬時に取り込んでいるのではなく、常にランダムな動きをする、ということです。
例えば、業績が安定していて経営に問題のない企業であっても、コロナだったり、世界経済全体の影響だったりを受けて、株価が大きく下落する、ということが起こりえます。
この場合、企業の業績や経営自体は安定しているため、「優良株」と言えるのですが、株価自体はその企業とは関係のない外的要因によって、下落している状態になります。
つまり、企業の本質的価値と株価は必ずしも同じ動きをしない、ということです。
ここに利益を生むチャンスがあります。
バリュー投資においては、この、本質的価値に対して、割安な株価がつけられている企業の株を探していきます。
本書では、
バリュー投資家にとって資産は、魅力的に見えるから(あるいは、他の投資家がそれを魅力的だと感じているから)といった理由で投資する、概念的なはかないものではない。資産は本質的価値を確定することのできる有形物であり、もし本質的価値を下回る価格で買えるのであれば、バリュー投資家はそれを実行に移すことを考えるだろう。このように賢明な投資を行うには、本質的価値の推計値をもとにしなければならない。そして、その推計はあらゆる利用可能な情報に基づき、厳格に行う必要がある。
『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』(日本経済新聞出版社 ハワード・マークス著、貫井佳子訳)
と書かれています。
となると、いかに「企業の本質的価値を推計するか」が重要になってきます。
その点については、以前ご紹介したバフェットの本や色んな本でも勉強できると思いますので、良かったら見てみてください。※参考:バフェット流投資法12の原則で富を築く方法【初心者必見!】
教え⑨振り子を意識する
次にご紹介する教えは、「振り子を意識する」です。
ここでいう「振り子」とは、株式市場の値動きの様子を言い表したものになります。
すべてが順調で価格が高騰しているとき、投資家は慎重さを忘れ去り、買いに殺到する。その後、市場が混乱に陥ると資産はバーゲン品となり、投資家はリスクをとる意欲を完全に失って、売りに殺到する。この繰り返しが永遠に続くのだ。
『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』(日本経済新聞出版社 ハワード・マークス著、貫井佳子訳)
と本書では言います。
つまり、株式市場は、「ずっと上がり続けることもなければ、下がり続けることもない」ということです。
一見すると当たり前のことのように聞こえますが、実際に売買を始めて、例えば、コロナ禍のように株価が暴落する局面に入ると、
自分の資産が数十%減になって、絶望的な気分になり、慌てて狼狽売りをしてしまい、後から市場が回復してからさらにショックを受ける、ということが往々にしてあります。
しかし、ここで書かれている通り、株式市場とは振り子のようなもので、一度上に上がった振り子は必ず元の位置に戻ってきますし、一度下がった振り子はまた上に向かって動き出します。
上にそのまま行ってしまうこともなければ、下に降りてそのままとどまることもありません。
重要なのは、「今、振り子がどのあたりにあるのか」を認識することにあります。
仮に、振り子が一番下にある状態でも、「いずれ振り子は上に上がる」と信じることで、自分がバリュー投資に基づいて買った優良な株を、一時的な感情で手放し、回避できたはずの損を確定させてしまう、というリスクを下げることができます。
また、僕個人的には、先ほどの教え③のバリュー投資に基づいて、企業の本質的価値を自分なりにでも推計していると、
外的要因によって株価が下がったとしても、自分が本当に優良な企業だと信じて買った株であれば、きっとまたその企業の価値に株価が追い付いてくるはず、と信じて待つことができると感じます。
教え⑪逆張りをする
最後に、「逆張りをする」という教えをご紹介しようと思います。
「逆張り」というのは、市場参加者の多くと逆の動きをする、ということです。
つまり、株式市場が盛り上がって、どんどん買いが入って株価が上昇しているときはあえて慎重になり、逆に、市場参加者の多くが悲観的になって売りが入っているときに、積極的に買いを入れる、という方法です。
これは、バフェットも同様の発言をしています。
ただ一つ言えるのは、他人が慎重さを欠いているときほど、自分たちは慎重に事を運ばなければならないということです。
逆張りの反対語は、順張りと言います。
順張りの場合、いわゆる「市場の波」(=トレンド)に乗ることができ、うまくリスク管理ができたり、株価予測ができれば、大きな利益を得ることができるかもしれません。
しかし、先ほどご紹介したランダムウォーク理論に基づくと、常に正確に株価を予測することは、たとえ投資の神様ウォーレン・バフェットであっても不可能です。
そして、うまく波に乗れたとしても、今度はその波からどうやって降りるか、の見極めが困難になります。
どんどん上がっていく市場の波に乗っていると、市場が頂点に達したところで売り抜こう、という気にどうしてもなります。
しかし、どこが天井になるかなんて誰も予想できず、結局、チキンレースのような売買をすることになります。
逆張りをすることで、そのチキンレースとは別のところで戦うことになります。
ただ、本書で述べられている逆張りは、単純にトレンドに逆らうだけではいけない、と言います。
なぜトレンドに逆らうべきか、もっと言えば、そのトレンドが適切な方向ではないことを認識したうえで逆張りを行うことが適切、と述べられています。
つまり、逆張りをせよ、というよりは、盲目的に「みんなが買ってる(売ってる)から自分も買う(売る)」ではなく、その株式を買う(売る)理由を明確に持ったうえで、集団の心理に流されず、自ら判断して投資を行うべきである、ということをこの教えでは言われているのだと思います。
まとめ
今回は、日本経済新聞出版社から出されている「投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識」(ハワード・マークス著、貫井佳子訳)についてご紹介しました。
本書では、投資において大切な20の教えについて解説されており、
- どうしたら投資リスクを限定できるのか?
- コンセンサスと別の見方をする理由とは?
- 市場が芳しくないときに、損失を最小限に抑えるには?
- 絶好の投資機会を見つける逆張りの考え方とは?
- ミスプライシングが起こりやすい非効率市場を見つけるには?
- マーケット・リターンを上回る「成功する投資」を達成するには?
といった点について、世界最大級の運用会社の創業者が顧客に宛てたレターを基に述べられています。
これらの考え方は、ウォーレン・バフェットが行っている投資方法にも通ずる部分があります。
個人的には、バフェットの投資手法は、どこか「バフェットだからこそできるのでは」という感覚もありますが、
本書でハワード・マークスが述べているこれらの教えは、個人投資家が投資を行う上での軸や基準にし、実践していけるものではないかなと思います。
すでに株式投資をされている方はもちろん、これから投資を始めてみたいという方には、まず本書で投資の基準を見つけ、そこから経験を重ねながら、自分なりの投資法を見つけていっていただくのがいいのではないかと思います。
共に賢い投資家への道を歩み、自由で豊かな人生を目指していきましょう!
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします!
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